『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
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傷跡
向かい合う少女の髪をかきあげたとき、ふと首筋に目を留めた。
月明かりで白く映えている肌にぽつりと浮かび上がっている。
小さな穴が二つ残っている傷跡。
―――吸血の跡だった。
男の視線がそれに向けられていることに気が付いた少女は、手で隠そうとした。
その手を男――レムオンが止める。
びくり、と少女の肩が一瞬だけ震えた。
「レムオン…。」
少女が小さな声でその名を呼んだ。
微笑み、しかし悲しそうな瞳が見上げてくる。
――心配しないで
そう訴えているかのようだった。
あの時。
ダルケニスと化して自我を失っていたレムオンを、この少女はずっと抱きしめていてくれた。
優しく包み込んでくれた両手、温もりは、これから先もずっと忘れることはないだろう。
そっと顔を近づけると、少女は頬を染めながらも目を閉じた。
白い肌に影が落とされ、薄桃色の唇に己の唇を重ねる。
唇を離した後、少女はそのまま両手をレムオンの首にまわし、耳元で囁いた。
「これからは、ずっと一緒にいてくださいね。」
少女の腰に回していた手に力がこもる。
愛しさが込み上げてくる。
「…ああ。」
ありがとう、と呟いた言葉は夜風に消えていった。
fin
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