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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 想いと影 

唇を重ねると、ふと過ぎる不安の影。

離れた時、セリスは不思議そうな面持ちでユリアの顔を覗き込んだ。
「…ごめん、ユリア。いきなりだったね。」
いいえ、と少女は首を振った。
「そんなこと、ないです…。」
それでも、ユリアの瞳は不安げな色を隠せない。
ふわりと微笑みセリスが問う。
「どうかしたの?」
「………。」
ちくり、とほんの少しだけ、胸が痛んだ。
彼の微笑みは、声は、どうしてこんなにも優しく響くのだろうか。
まるでひだまりのように暖かい。
閉ざそうとしていた心は、いとも簡単にこじ開けられてしまった。

「わたし…怖いんです…。」
「うん?」
自分の両手のひらを見つめる。
「…抗えない、なにか、大きなものが…あるんです…。」
――わたしの中に。わたしたちの間に。
その言葉を吐き出す代わりに、ユリアは両手を強く握り締めた。
セリスに恋心を抱くようになってきてから、心の中に巣食う影。
想いが強くなるの毎に影も大きくなっているのがわかる。
しかし、その影の正体がわからない。
だから怖い。

「…ユリア。」
セリスは少女の細い身体を引き寄せた。
華奢な両肩が震えているのが、痛々しい。
胸元に顔を埋めたユリアのすすり泣く声が聞こえてきた。

小さな身体の中に、いったいどれほどの恐怖を抱え込んでいたのだろうか。
「ユリア。僕が守るよ、必ず。だから泣かないで。」
抱きしめる両手に力がこもる。

「…セリスさま…。」
抱かれ胸の中で、その名前を繰り返す。
この人はひだまりのように暖かいのに、どうして、胸の中にある影は拭えないのだろう。
震えが止まらないのだろう。

こんなにも好きなのに。
「…キスしてください、セリスさま…。」
涙で濡れた紫水晶の瞳が、セリスを見上げる。
「ユリア…。」
ゆっくりと近づく。
重なり合った唇は、やはり影を拭うことは無かった。
それでも、何度も何度も唇を重ねた。

 

fin



あとがき↓

重いわ…。(※「想い」と「重い」をかけたギャグではありません。)

初心に帰ってセリユリを書こうと思ったのですが、
あの頃(セリユリきゃっほぉぉう!)の精神状態からは思いつかないほど重くなってしまいました。
成長って残酷。
でも今は、「こんなセリユリが萌える(燃える)!」です。個人的に…。



08.03.11

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