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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 雪の降る夜 

足元から聞こえてくる雪を踏みしめる音は、一人歩いているエアリスの慰めになったが、
陽も沈み、気休め程度の街灯が灯った空間では、ただ儚く消えてゆくのみだった。
規則正しく吐き出される白い息も、留まることなく消えていった。

立ち止まり、上を見上げる。
真っ黒い空を舞うように降りてくる、白い雪。
朝から降り続いていた雪は、辺り一面を真っ白く染め上げても、まだ降り止まない。

冷たくなった手で口元を覆い、冷たい空気を吸い込んでから、はぁ、と息を漏らす。
白い息は、雪とは違い、立ち上ってもすぐに消えてしまった。

上を見上げているエアリスは、思わず立ち眩んでしまいそうになる。
誰一人いないミッドガルの夜の街。
気休め程度にしかならない街灯は頼りにならず、降りそそぐ雪の白さが際立っている。
黒と白。
くっきりと分かれた広い世界に、たった一人だけ取り残されたかのような寂しさ。

「………。」
エアリスは首に巻いたマフラーと口元へ引き寄せると、再び歩き出した。

 

視界に入り込んできた見慣れた景色に、エアリスはほっと胸を撫で下ろす。
しかし、ぴたり、足を止めた。

教会の入り口に見える、白い煙のようなもの、微かな赤い点。
それは、黒と白しかない空間では本当に不釣合いで。
だけど、今のエアリスには何よりも嬉しいもので。

その正体が何なのか。
分かった時、彼女の白い頬はほんのりと紅み差し、口元には笑みがこぼれていた。

足元から聞こえてくる雪を踏みしめる音は、軽やかで耳に心地良い。

「こんばんは、レノ。」
にっこり笑ったエアリスが声を掛ける。
レノは驚いた様子もなく、ふう、と煙草の白い煙を吐いてから悠々と答える。
「コンバンハ、と。」
そうしてまた、煙草を咥えた。
彼が煙草を吸い込むと、火が点っている先端が赤々と燃え上がる。
「その煙草の火で、レノだって、すぐ分かったよ。」
エアリスは、自分の声がどことなく弾んでいるのに気づいていない。
「俺も、遠くから見て、おねえちゃんだって分かった。」
吐き出された白い煙は、ふわふわと消えていった。
エアリスは眼を瞬かせる。
「…そうなの?どうして?」
煙の行方を眼で追いながら、んー、とレノは小さく唸ってみせた。
「色とか、足音とか…?まあ、なんとなく、だぞ、と。」
赤々と火を灯した後、ふう、と吐き出される白い煙は、黒い空へと消えた。
それを見て、エアリスが笑う。

黒と白しかない空間で見つけた、愛しいものが嬉しくて。

 

fin



あとがき↓

「冬!」っていうのが書きたくて書いたら、レノエアになってました。

…ミッドガルって雪降るの?(気候の問題は難しい…。)



08.01.07

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