忍者ブログ
『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

 戦場の中の友 

どん、と背中を押され、不意をつかれたラクチェはそのまま前に倒れそうになるのを
片足に力を込めて踏みとどまることで回避した。
「なに?」とか「痛いじゃない!」とかいう言葉は出ない。
それよりも、不意をつかれた自分自身に苛立ちを覚えた。
するべきことは、瞬時に振り向き敵かどうかを判断し、敵だった場合は切り伏せるまで。
なぜなら、ここは戦場なのだから。

しかし、振り返ったラクチェの目が大きく見開かれた。
そして、叫んだ。
「アレス!?」
彼女の目に飛び込んできたものは、金色の長髪に黒い鎧を身に纏った男の後姿。
ゆっくりと視線を落とした先には、男の足元、血溜まり、敵兵のうつ伏せになった姿。
かつん、と小さな音を立てながら振り向いた男――アレスの瞳と、
少しずつ状況を理解し始めていたラクチェの困惑に満ちた瞳が重なった。

「…大丈夫か?」
鋭い眼差しとそれ相応の冷たい声。
「大丈夫よ。助けてくれたのね。」
ありがとう、と礼を言うと、アレスは無言でくるりと背を向けた。
元々「無愛想な男」と知っているのでそれを不快には思わない。
ただ、親しい間柄というわけでもないのに、何故助けてくれたのだろうと背を見つめながら思った。
「…あっ…待って!」
ラクチェが去ろうとしたアレスのマントの端を掴んだ。
歩みが止まる。
「………。」
「怪我してるわ。」
右袖には、赤黒い小さな染みがじわじわと染まり、腕を伝って血が滴り落ちていた。

見せて、と強引に引き寄せて袖を捲り上げると、横一線に切り傷が出来ていた。
それほど深くはなさそうだが、赤い血が痛々しい。
アレスは無言で腕を引こうとしたが、ラクチェがそれを掴んで止めた。
「待って。せめて応急手当はさせて。」

自分を助けてくれたときに負った傷だろうか。
アレスの腕に包帯を巻きながら、ラクチェは思った。
「…傷を負わせてしまってごめんなさい。」
「……礼はいらん。」
しゅんと肩を落としていたラクチェだったが、アレスのあまりの無愛想さに目を瞬かせたものの、すぐに噴き出した。
アレスが怪訝そうに眉根を寄せる。
「何だ。」
吐息のような小さな笑いを漏らしたラクチェは、最後の仕上げに包帯を結んだ。
「意外だな、と思っただけ。」
「………。」
解放された右腕の、包帯が巻かれた部分を触りながら、アレスはふんと鼻で笑った。

「アレスはどうするの?一度、医療班のところに行く?」
傷を労わっての質問だったが、すぐにそれは愚問だったと気がついた。
「このまま進む。」
ここでの戦いはまだ続いている。
“黒騎士”と異名を持つ彼が、ここで引く訳はないだろう。
「俺なら、大丈夫だ。」
アレスが巻かれた包帯を見せるように腕を上げ、唇の端をあげてにやりと微笑んだ。
「…そう、心配はいらないわね。」
一瞬どきりとしたのは、初めて見た彼の笑みに驚いたからだ。
とりあえず、ラクチェはそう自分を納得させた。
「行くぞ。」
「ええ!」
二人は同時に駆け出した。

 

fin



あとがき↓

アレスとラクチェ。恋人未満、恋心無し、信頼微妙、戦友未満?そんな感じです。
この二人に限らず、ゲーム中に会話がないペアって、捏造するのが難しいですね。(愛の差?)



07.11.05

拍手

PR
ダイアリー
更新履歴
雑記(拍手&メルフォRe:)
アンケート
テキスト
FE 聖戦の系譜
FE 覚醒
Zill O'll
FINAL FANTASY 7
お題系
きまぐれジャンル
リンク
リンクページ

素材
●Photo : 戦場に猫
●Material : web*citron
●Template : hanamaru.
●Banner : Sky Ruins
メールフォーム
何かありましたら、どうぞ。お名前は入れなくても届きます。お返事は「雑記」ページにて*
忍者ブログ [PR]