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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 見えない境界線 

「おやすみ。」
そのセリフの後、必ずセリスはユリアを抱き寄せ、白い頬に唇を寄せる。
両腕を回されたユリアの身体は強張り、唇はきつく結ばれかたく目を瞑る。
わかってはいても、顔を背ける――ほんの少しだけ。
解放されてから、ユリアは目を開け、紫色の瞳でセリスをじっと見つめる。
かすかな戸惑いのある瞳で、ふと微笑む。
「おやすみなさい、お兄様…。」

するり、と滑らかに離れるその腕、身体を名残惜しむかのように。
セリスはユリアの後姿を目で追った。
そして、もう一度。
「おやすみ、ユリア。」

扉の閉まった音がいつまでも耳に残る。
セリスは深い溜め息をつき、ベッドに横たわると天蓋を見つめた。
手に残っているのは、ユリアのぬくもり。

 

ユリアは自分の両肩を抱いた。
胸の鼓動も身体の微かな震えも収まらない。
何度も何度も呼吸を繰り返し、自分を落ち着かせることに努めた。

この胸の鼓動と身体の震えは何なのか。
恐怖なのか、罪悪感なのか、背徳感なのか。
あるいは、それらからくる喜びなのか、快感なのか。

 

兄妹として振舞う二人の秘密。
互いが互いに想いを寄せながらも、それを伝えてはいけない。
周りに悟られてはいけない。
この均衡を崩してはいけない。
この境界線を越えてはならない。

でも、とユリア思う。
一筋の涙が頬を伝う。

――境界線は、どこにあるのですか?

相手を強く想うが故に涙は溢れ、平穏を願う理性と共に流れ落ちる。
未だ見えない未来に、二人は足を踏み入れたばかり。

 

fin



あとがき↓

みじかっ!

セリスとユリアの薄幸モノを考えるのが好きです(ドS)。
「危うい二人」とか「報われない想い」とか、そういうのに惹かれます。



07.10.11

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