忍者ブログ
『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

 窓から見えるひと 

最初は、全くの偶然だった。

「今日も良いお天気…。」
窓辺に立ったラケシスはそう一人ごちながら、青い空を眺めながら心地良い風に髪を靡かせる。
二羽の白い鳥が仲良く飛んでゆく姿を、細めた目で追った。
暖かな日差しを受けながら、ラケシスは石造りの冷たい窓枠にもたれた。
視界に入ってくる鮮やかな景色に、心が安らぐ。

「あら。」
目線を下げた時、中庭の人影に気が付いた。
蒼い髪の青年。
彼の名前は、確か―――。
「…フィン…?」

吐息から漏れたかのような呟きは、風の音に溶けていった。
この何気ない場面から、ラケシスは目を逸らすことができない。
青年――フィンは懸命に槍の修練に励み、窓から見下ろしている人影に気が付くことはない。
それでも、ラケシスの目はフィンの姿を捉え続けていた。

「……………。」
小さく息を吐いてから、ラケシスは窓枠から手を離した。
いくら眺めても飽くことはなかったけれど、そもそも、いつまでも眺めてる理由もない。
聴こえてくる槍が風を切る音とフィンの息遣いに背を向け、その場を後にした。

 

次の日も、その次の日も。
気が付くとラケシスは同じ窓辺に立ち、フィンの姿を眺めていた。

あの日、フィンの姿を見つけられたのは、全くの偶然なのに。
こうして窓辺に立ってフィンを見下ろすことが、日課のようになってきている。
フィンの姿を眺めているときの表情が緩んでいるのが、自分自身でも分かる。
しかし、フィンは、自分を見ている人がいることをまだ知らない。

日差しは暖かく、石造りの窓辺は冷たくて、握っている手のひらはほんのりと汗ばんでいる。
聴こえてくる槍が風を切る音とフィンの息遣いに耳を傾ける。
高鳴る胸の鼓動をどうにか抑えつけて、ラケシスは口を開いた。

「こんにちは、フィン。」

手を休めたフィンが、窓を振り仰いだ。

 

fin



あとがき↓

かいき作。怪奇じゃなくて、快気!
時間軸?的には、ラケシスがシグ軍入りしたてという感じなんですが、
その時のラケシスって兄と離れちゃって心中穏やかな場合じゃあないのでは…?

という疑問は、「パラレルなのです」という一言で片付いてしまう不思議。

…ごめんなさい。本当は、考えなしなのです。



07.08.23

拍手

PR
ダイアリー
更新履歴
雑記(拍手&メルフォRe:)
アンケート
テキスト
FE 聖戦の系譜
FE 覚醒
Zill O'll
FINAL FANTASY 7
お題系
きまぐれジャンル
リンク
リンクページ

素材
●Photo : 戦場に猫
●Material : web*citron
●Template : hanamaru.
●Banner : Sky Ruins
メールフォーム
何かありましたら、どうぞ。お名前は入れなくても届きます。お返事は「雑記」ページにて*
忍者ブログ [PR]