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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 海の見える坂 

帰り道にある、長い長い下り坂。
私が一番大好きな瞬間。

 

ぽっかりと浮かんでいる夕陽は、目の前に広がっている海をオレンジ色に染めている。
その夕陽を見つめて、ラナが思うことは、
(きれいな夕陽だな。)
だとか
(今日も一日が終わっちゃうな。)
ということではない。
視線の先にある夕陽は、ただの夕陽でしかない。
振り落とされないように前に回した自分の腕とか。
頬をくっつけている熱を持った背中とか。
規則正しく聴こえてくる息遣いに、全神経を集中させていた。

「ラナ、しっかりつかまってて。」
帰り道にある、長い長い下り坂に差し掛かると、スカサハは必ずそう言う。
「…うん。」
そしてラナは、自分の腕を取り合い、スカサハの背中により強くしがみつく。
一番大好きな瞬間の訪れに、ラナの心が躍る。

スカサハは慎重に自転車のブレーキをかける。
それでも坂道を下るスピードは速く、髪をなでる風が心地良い。
頬をすり寄せている広い背中は熱くて、少しだけ汗臭い。
それがとても愛しいから、ラナは目を閉じて、この瞬間がずっと続くようにと祈る。

 

でも、祈りは届かず、いつものように長い長い下り坂は終わる。
細い道を通り過ぎると、藍色の屋根の家が見えてきた。

「着いたよ、ラナ。」
ラナは名残惜しそうに頬を離し、腕を放し、自転車の荷台から降りた。
「また明日。」と、スカサハは優しく微笑む。
額には汗が光っている。
「うん、また、明日ね。」
そう言ってにっこり微笑み、ちょっと間を置いてから、一歩前に踏み出して。

「ありがとう、スカサハ。」
そして、スカサハの頬に、キスをした。

 

fin



あとがき↓

現代パラレルのスカラナ。幼馴染の二人は現役高校生という設定です。
高校生のスカって、ちょうさわやかスポーツ青年って感じがします。
きっとサッカー部。(梅之助の偏見)



07.05.08

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