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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 恋する猫には敵わない 

普段、俺の前でも滅多に見せないような、そんな極上の笑みを浮かべて、
アイラが見せてきたものは、黒と茶色の縞模様を持った猫だった。
「にゃお」
とソイツが鳴くと、アイラは首元を優しく撫でてやりながら、
「庭の木陰にいたから、連れてきてしまった。」
とろけたような、やはり極上の笑みを浮かべて、ソイツを抱きしめる。
猫はごろごろと喉を鳴らし、目を細めて気持ち良さそうな表情を見せている。
二人――正確には一人と一匹――の様子を見ている俺は、なんだか面白くない。
「ふぅん…猫ねぇ。」
「あ。」
俺はアイラの手元から猫をひったくると、目の前まで抱え上げた。
猫は不満そうな目つきで見下ろしてくる。
だらんと垂れた足は無力そのもので、ちょっとだけ、優越感。
そして猫をまじまじを見つめ、
「…オスか。」
そう呟くと、アイラの拳が脇腹にヒットし、呻いている間に猫は再び彼女の腕の中に納まった。
「まったく。乱暴者は困りましゅねー。」
おいおいおい。
そんな口調、お前のガラじゃないだろ。
恨めしそうにアイラを見ると、代わりに腕の中の猫が勝ち誇ったような顔で
「にゃう」
と鳴いた。
本当に、面白くない。

 

今日は猫の姿が見えない。
中庭には、一人で稽古をしているアイラの姿だけ。
ラッキー。
ここんとこ、アイラはアイツにべったりで、俺はなかなか相手にされなかった。
それが大いに不満だったから、
「アーイラ。」
彼女に近づき、振り返った彼女を抱き寄せ、
「ちょ、レックス…。」
その唇を奪ってしまおうとした、まさにその直後。

「にゃお」
後ろから聞こえてきたのは、忌々しいアイツの声。
「あっ、トラ!おいで。」
アイラはするりと俺の腕の中から消えて、駆け寄ってきた猫を抱き上げた。
「………………………。」
「どこ行ってたんだ?心配したんだぞ。」
「………………………。」
「ん?こらこら、くすぐったいよ。おなかが空いたのかな?」
「………………………。」
「じゃあ、ミルクをあげましゅからね。」
おいおいおい。
そんな口調、お前のガラじゃないだろ。
不満そうにアイラを見ると、もうすでに彼女は俺に背を向けて歩き出していて、
肩越しに見えた猫は、憎たらしいほどに勝ち誇ったような表情だった。

まったく。
こんなこと、いつまで続くんだ。

 

fin



あとがき↓

にゃんこにゃんこ!(梅之助は犬派、それ以前に鳥派です。)
お題・恋猫。………こいねこってなんだ??(’’;)??

レックスって猫と同レベルでケンカしそうだなー、と思いました。
アイラの取り合い。
ありがちな話だなあ!



07.05.07

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