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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 deep jealousy for the moon 

青紫の空に浮かぶのは、綺麗な丸い形をした真っ白い月。
その満月から放たれる白い光は地上の全てを照らし、冷たく、しかし幻想的に創り上げている。
宿屋の一室のバルコニーに佇み、その景色に見惚れているのはルインだった。
短く切り詰められた色素の薄い金色の髪は、月光を反射して微かに輝く。

「何をしている?」
すぐ隣の部屋から聞こえてきた声に、目を向ける。
「レムオン…。」
名を呼ばれた青年もバルコニーへと足を踏み入れ、手摺を挟んでルインの隣に並んだ。
「月を、見ていただけです。」
微笑みながらそうとだけ言うと、ルインの視線は、再び月へ戻された。
レムオンは、少女の横顔を見つめてから、自分も視線を月へと向けた。
夜空にぽっかりと浮かぶ月はそこにあるのが当たり前なのに、やはり美しく、
少女がただじっと見惚れる気持ちが分からなくもない。

先ほどから続いている他愛もない話の間も、その他愛のない話に相槌を打ちながらも。
穏やかな口調で話すルインの視線の先には、白い月がある。
時々、金茶色の瞳をレムオンへ向けて微笑みを見せるが、その微笑みを独占することはできなかった。

「…月が好きなのか?」
ちょうど一つの話に区切りがついたので、その時一番気になっていることをぽつりと尋ねてみた。
ええ、とルインはまた、ふわりと微笑んだ。
「月を見ていると、なんだか心が落ち着く気がするんです。」
「…そうか。」

月が好き。
別に、気にすることでもないではないか。
好きな色とか好きな食べ物とか、その程度ではないか。

そう自分自身に言い聞かせているのに、苛々した気分に陥っていく。
ルインのように月を見ても落ち着かず、逆に何かを急かしているような気分に陥っていく。

そっと手を伸ばしてルインの頬に触れ、強引に顔を向けさせる。
突然のことでびくりと肩を震わせた少女の視線が、レムオンの視線と重なり。
「え?」
と言いかけた唇は、手摺に身を乗り出してきたレムオンの唇に塞がれた。
時が、止まる。
音が、聴こえなくなる。

 

互いの唇が離れた時、ルインは頬を紅く染めて瞳を瞬かせ。
レムオンは意地の悪い笑みを浮かべて見下ろしていた。
「れ、レムオン……!」
顔を紅くして睨みつけられても迫力はなく、レムオンはそれが愛しくてたまらない。
「お前が月ばかり見ているからだ。」
そしてもう一度、少女を捕らえ、その紅い顔に影を落とす。

月に嫉妬していたなんて、お前は笑うだろうか。

 

fin



あとがき↓

レムオン×梅之助んちのミイス主・ルイン でした。
レムオンて、つくづく、乙女ゲー(?)向きだなぁと思ってみたり。
コテコテの恋愛話が好きな梅之助としては、結構動かしやすいキャラです。



07.05.03

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