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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 笑顔あふれて 

ノーブル伯になって初めて迎えた誕生日。
まさか弟と義兄と執事に祝われるなんて思ってもいなかった。

弟・チャカに腕を引っ張られるようにしてリューガ邸に赴いて、
執事・セバスチャンに促されて部屋に入り、目を丸くする。
普段なかなか会えない義兄・レムオンと、テーブルに置かれたケーキを交互に見た。
「義妹は今日が誕生日らしいな。」
「え、な、何で知ってるの?」
状況が上手く飲み込めないリズは、目を瞬かせるばかり。
「俺がレムオンさんやセバスチャンさんに頼んだんだぜ!」
チャカは得意気に胸を張り、鼻の頭をこする。
「さあ、リズ様。お座り下さい。お茶のご用意を致します。」
「は、はぁ…。」
「ほらほら、姉ちゃん!」
チャカに背中を押されながら、ふらふらと長椅子に座る。
どうしたらよいものかと、なんだか照れてしまう。
この歳にもなって、こんな華やかなバースデーパーティーを開いてもらえるとは。

隣にはチャカ、向かいにレムオンが座り、セバスチャンから紅茶の入った器が手渡された。
「すみません、リズ様。エスト様には連絡が取れず、今日は来られておりません。」
申し訳なさそうに謝るセバスチャンに、ようやく場に慣れたリズも苦笑する。
「まぁ、彼は仕方がないよね。」

テーブルにはケーキの他に、侍女たちが用意した焼き菓子などが並べられている。
満面の笑みでそれを頬張っているチャカ。
いつも通りの静かな顔で紅茶を飲んでいるレムオン。
その様子を微笑んで見守っている、セバスチャン。

その光景を見て、思い出すのは、数年前まで両親がいた頃の誕生日。

 

母がご馳走やケーキを作り、農作業から帰ってきた父を出迎える。
父は駆け寄ってきたリズの頭を撫でながら「おめでとう」と言う。
小さな弟も、リズの服を引っ張って、まるで自分のことのように嬉しそうに笑っている。

ケーキには、歳と同じ数のろうそくが並び、火が揺れている。
それを一気に吹き消すと、家族は口々に歓声を上げた。
みんなで囲む母の料理に、弾む笑い声。
ささやかな幸せを囲み、家族の笑顔が絶えることは無かった。

 

嬉しくて嬉しくて、気がついたとき、リズの目には涙が滲んでいた。
それに気がついたチャカが、おどけて言う。
「あれ!?姉ちゃん…!?まさか、鬼の目にも涙…!」
「なんだって?」
勢い良くチャカの頭を叩くと、チャカはオーバーリアクションで痛がる。
レムオンがやれやれといった表情で溜め息をつく。
セバスチャンは相変わらず微笑んでいる。
まったく、と憤慨したように腕を組むリズはしかし、涙は消えていつもの笑顔が戻っていた。

もう無いと思っていた、楽しかったあの日が、今目の前で起こっている。
あの日と同じように、家族のみんなが、笑顔で。

 

fin



あとがき↓

梅之助んちの黄金主・リズ、初登場です。
梅之助んち設定の女主の中では、一番年上な彼女。
エストを「義弟」と呼びたかったんです。義弟エストかあいいよー*

このお話は、「思い、思われ」に続きます。



07.04.11

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