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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 月夜の逢瀬 

互いの背中に回された腕と重ね合わせた唇は。
離れていたときの寂しさと、今この瞬間に会えた喜びを表す。

しかし幾度の逢瀬を経ても、その思いは決して表情には出さず、
長い口付けの後に目を開いたとき、二人は互いを拒絶するかのように身体を突き離した。

街外れの廃屋の陰。
二人を照らすのは、月の光。

少女は、縁が刺繍されたフードを被っているが、
月明かりの下で映える白い肌と紅い唇のコントラストが美しい。

青年は、灰色のフードを被っているが、
月明かりの下でも光る蒼く強い瞳が美しい。

「また、会えましたね。」
少女が口を開く。
冷たく薄い笑みを浮かべながら。

「会えて嬉しい?」
青年は問いかける。
夜明けの色に似た、少女のひとふさの髪に口付けながら。

「ええ。貴方がここまで生きていたから。」
少女は青年の手を払い除ける。
さらりと胸元に流れ落ちる髪。

「心配してくれてるの?」
青年は柔らかな微笑みを向ける。

「まさか。貴方を殺すのは、我が主です。」
少女は言葉を強める。
まっすぐに、青年の蒼い瞳を見つめながら。

「今ここで、君が殺せばいいじゃないか。」
青年の、無垢な顔に似合わない残酷な言葉。
少女の白い手を掴む。

「………。」
少女は口を閉ざす。
青年を見つめる眼は鋭く。

「怖くてできない?」
青年は小首を傾げて問う。
相変わらず、柔らかな微笑み。

「戯言を。私は貴方を殺そうと思えばいつでも殺せます。」
少女は冷たく笑う。
手は握られたまま。

「…僕は君に殺して欲しい。」
少女を引き寄せ、もう片方の手を腰に回す。

流れる雲が月の光を遮る。
きっと、青年は微笑んでいる。
少女もやっと、ふわりと笑う。

「…ならば、そうして差し上げましょう。」
手を握り返し、もう片方の手は背中に回し。

 

眼を閉じ、口付ける。

別れを惜しむかのように。
再会を約束するかのように。

隠れた月が、再び二人を照らすまで。

 

fin



後書き↓

セリスとイシュタルが実は隠れて二人きりで会っていたら…
という、「もしも」のおはなし。
パラレルパラレル。

なんかこう…リズム感のある話が書きたいんだけど………。
まだまだ修行が足りませんね。ぼへー。



07.03.13

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