『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
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瞳に映る
「ザギヴ。」
名前を呼ばれる。
呪われた名前。
しかし、男は優しい声で名前を呼び、ザギヴを引き寄せる。
ザギヴは躊躇いがちに視線を泳がせ、男と視線が重なり合う、その瞬間。
きつく目を閉じる。
息がかかるほどの距離。
男はふと微笑むと、ザギヴの紅い唇に口付けた。
名残惜しそうに唇が離れた時、ザギヴは目を開く。
目には、涙。
「大丈夫、目の前にいるのは、ザギヴだ。」
男は、安心させるように言った。
男と目を合わせるのが怖い。
至近距離で。
キスする寸前の距離で。
男の瞳に映る、自分の姿を見るのが怖い。
本当に、自分が映っているのだろうか。
「サギヴ。」
名前を呼ばれる。
二人きりの時は、必ず、名前を呼んでくれる。
引き寄せられ、ザギヴは、胸に頬を摺り寄せる。
愛しそうに長い黒髪を撫でる男の手は、暖かい。
顔を上げる。
今度は、しっかりと重なる視線。
ザギヴの漆黒の瞳と、男の蒼い瞳が重なり合う。
少しずつ近づく、互いの瞳。
吐息がかかるくらいの距離。
微笑み合う二人。
男が待ちきれなくて、目を伏せた。
「待って。」
ザギヴがそれを制す。
「もっと、よく見せて。」
下から男の顔を覗き込むように、上目遣いで。
男の蒼い瞳に、自分の姿を見る。
「俺が今見てるのは、ザギヴだけだよ。」
男が微笑む。
今度こそ、二人は目を閉じる。
そして、目を開けた時、流れる涙は嬉しさの。
fin
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