『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
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とりこ
その男――レーグは、ひたすら強さだけを求める人なのである。
リズも腕っ節には自信があり、強くありたいと思う気持ちは理解できるが、
彼のそれに注ぐ情熱――と言うよりは、彼ら種族にとっては当たり前のこと――には驚いた。
レーグがリズたちと行動を共にしているのは、リズが彼を負かしたからだ。
ほんの腕試しのつもりで参加した闘技会でレーグと出会い、打ち負かされると、
それが彼女の負けず嫌いな性格に火をつけた。
幾度目かの戦いでようやく彼を負かした。
「優勝が目的じゃないの。レーグに勝つことが目的なの。」
そんなことを常々弟たちに言っていたリズは大喜びした。
とにかく。
無敗を誇っていたレーグにリズの存在は強く刻み込まれたようで、縁あって仲間となった。
レーグは暇さえあると一人で鍛錬に勤しんでいる。
肉体を鍛えることが好きな種族なだけに、日常的なことなのだろうけど、やはりリズたちにとっては頼もしさを感じる。
時にはチャカやパーティーの誰かと手合わせしているようだった。
リズとも手合わせをすることがある。
一緒に手合わせをしていると、彼の生まれながらの戦士としての才能に改めて感心させられた。
それと同時に、こんな男によく自分は勝てたものだと今更寒気を感じ――いや、それは認めないけど。
リズはまじまじとレーグの身体を見つめる。
よく鍛えられ引き締まった身体。
日に焼けた胸元には汗の玉が浮いていた。
リズムを刻むかのように吐き出される呼吸音からも逞しさを感じる。
「…リズ?」
「…は、う、うぇ!?」
名前を呼ばれて我に返ったリズは、自分がずっとレーグに見とれていたことに気がついた。
ほんの数分の間だけのことなのに、長時間見つめていたかのようなおかしな感覚がする。
そのおかしな感覚は、顔が熱いせいだとわかった。
真っ赤になっている顔に、レーグは変に思っているに違いない。
「な、なに!?」
「手が止まっていたようだが、どうかしたのか?」
「な、なんでもないっ!」
できるだけ平静を装い、ぶんぶんと両手を振って否定をするが、すればするほど顔が赤くなっていくのがわかった。
『レーグに見とれていた』なんて言えるわけがない。恥ずかしすぎる。
「顔が赤い。」
言うや否や、リズの返答も聞かずに。
それこそ一瞬の間にレーグはリズの前に立ち、
「熱でもあるのか?」
こつん、とレーグの額がリズのそれとくっついた。
「!!!」
今までにないくらいの至近距離に、リズの心臓がおもいっきり飛び跳ねた。
女の子相手にこういうことをするって、わかってるの!?!?
リズだって小さい頃、熱を出すと両親が額をくっつけてきたことは覚えている。
弟のチャカにだってしたことはあるけど、それは小さい頃の話。
成長した今は熱があるんだったら額に手を当てて測るし、だってそれは姉弟とはいえ男女なんだし―――
「…熱があるな。」
レーグがそう呟き、額が離れた瞬間、リズはふらふらとよろめいてしまった。
もちろん、熱のせいで。
「だ、だいじょう…」
ぶ、と言おうとしたところで、リズの身体は宙に浮き上がった。
「休んだほうが良い。」
「~~~~~~!!!」
レーグはリズの身体を楽々と抱きかかえていた。
いわゆる、お姫様抱っこ、のかたちだ。
がっしりとしたレーグ腕の中にすっぽりと収まってしまったリズは、
先ほどの衝撃と悶々とした考えと、身体の半分から伝わってくる男の身体の熱さで、余計に顔が赤くなってしまった。
「む。さっさと戻るとしよう。」
リズが病気だ、と思ったレーグはのしのしと宿へと歩き始めた。
その鈍感さが助かったというか前途多難というか。
そういえば、とリズは思う。
「レーグに勝つことが目的なの!」
口を開けばレーグ、レーグ、レーグと。
闘技場で負けて以来毎日のようにレーグの名前を出し、彼の姿を思い描いてきたけれど、
そんな姉の姿を見てチャカは
「姉ちゃん、もうそれ恋なんじゃないの?」
なんてにやにや笑いを浮かべながら冗談を言っていたけれど。
もしかしたら、チャカにとっては冗談じゃなくて本気だったのかもしれないけれど。
まさか、本当に…!?
リズはいつの間にか、レーグに恋心を抱いていたようだった。
fin
リズも腕っ節には自信があり、強くありたいと思う気持ちは理解できるが、
彼のそれに注ぐ情熱――と言うよりは、彼ら種族にとっては当たり前のこと――には驚いた。
レーグがリズたちと行動を共にしているのは、リズが彼を負かしたからだ。
ほんの腕試しのつもりで参加した闘技会でレーグと出会い、打ち負かされると、
それが彼女の負けず嫌いな性格に火をつけた。
幾度目かの戦いでようやく彼を負かした。
「優勝が目的じゃないの。レーグに勝つことが目的なの。」
そんなことを常々弟たちに言っていたリズは大喜びした。
とにかく。
無敗を誇っていたレーグにリズの存在は強く刻み込まれたようで、縁あって仲間となった。
レーグは暇さえあると一人で鍛錬に勤しんでいる。
肉体を鍛えることが好きな種族なだけに、日常的なことなのだろうけど、やはりリズたちにとっては頼もしさを感じる。
時にはチャカやパーティーの誰かと手合わせしているようだった。
リズとも手合わせをすることがある。
一緒に手合わせをしていると、彼の生まれながらの戦士としての才能に改めて感心させられた。
それと同時に、こんな男によく自分は勝てたものだと今更寒気を感じ――いや、それは認めないけど。
リズはまじまじとレーグの身体を見つめる。
よく鍛えられ引き締まった身体。
日に焼けた胸元には汗の玉が浮いていた。
リズムを刻むかのように吐き出される呼吸音からも逞しさを感じる。
「…リズ?」
「…は、う、うぇ!?」
名前を呼ばれて我に返ったリズは、自分がずっとレーグに見とれていたことに気がついた。
ほんの数分の間だけのことなのに、長時間見つめていたかのようなおかしな感覚がする。
そのおかしな感覚は、顔が熱いせいだとわかった。
真っ赤になっている顔に、レーグは変に思っているに違いない。
「な、なに!?」
「手が止まっていたようだが、どうかしたのか?」
「な、なんでもないっ!」
できるだけ平静を装い、ぶんぶんと両手を振って否定をするが、すればするほど顔が赤くなっていくのがわかった。
『レーグに見とれていた』なんて言えるわけがない。恥ずかしすぎる。
「顔が赤い。」
言うや否や、リズの返答も聞かずに。
それこそ一瞬の間にレーグはリズの前に立ち、
「熱でもあるのか?」
こつん、とレーグの額がリズのそれとくっついた。
「!!!」
今までにないくらいの至近距離に、リズの心臓がおもいっきり飛び跳ねた。
女の子相手にこういうことをするって、わかってるの!?!?
リズだって小さい頃、熱を出すと両親が額をくっつけてきたことは覚えている。
弟のチャカにだってしたことはあるけど、それは小さい頃の話。
成長した今は熱があるんだったら額に手を当てて測るし、だってそれは姉弟とはいえ男女なんだし―――
「…熱があるな。」
レーグがそう呟き、額が離れた瞬間、リズはふらふらとよろめいてしまった。
もちろん、熱のせいで。
「だ、だいじょう…」
ぶ、と言おうとしたところで、リズの身体は宙に浮き上がった。
「休んだほうが良い。」
「~~~~~~!!!」
レーグはリズの身体を楽々と抱きかかえていた。
いわゆる、お姫様抱っこ、のかたちだ。
がっしりとしたレーグ腕の中にすっぽりと収まってしまったリズは、
先ほどの衝撃と悶々とした考えと、身体の半分から伝わってくる男の身体の熱さで、余計に顔が赤くなってしまった。
「む。さっさと戻るとしよう。」
リズが病気だ、と思ったレーグはのしのしと宿へと歩き始めた。
その鈍感さが助かったというか前途多難というか。
そういえば、とリズは思う。
「レーグに勝つことが目的なの!」
口を開けばレーグ、レーグ、レーグと。
闘技場で負けて以来毎日のようにレーグの名前を出し、彼の姿を思い描いてきたけれど、
そんな姉の姿を見てチャカは
「姉ちゃん、もうそれ恋なんじゃないの?」
なんてにやにや笑いを浮かべながら冗談を言っていたけれど。
もしかしたら、チャカにとっては冗談じゃなくて本気だったのかもしれないけれど。
まさか、本当に…!?
リズはいつの間にか、レーグに恋心を抱いていたようだった。
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