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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 MUG CUP 

ある日の野営中の、焚き火を囲んでの夕食時。
リズは隣に座っているレーグの手元に、ふと目が止まった。
「レーグ。そのカップ、小さくない?」
スープを飲もうとしていた男の手が止まった。
「…これか?」
「うん。」
そのカップは、たしかに小さかった。
ただし、レーグの物だと見て、である。
リルビーが持てば少し大きいかもしれないが、人間やコーンス、ドワーフでちょうど良いサイズの物だろう。
なんにせよ、ボルダンであるレーグが使う物としては、少々小さすぎるように見える。
「気に留めたことは無い。」
実に彼らしい返答に、リズは「そっか。」とだけ答えると、次にはもう別のことが頭の中に浮かんでいた。

それから数日後。

「はいっ、レーグ!」
ドワーフ王国の宿屋にて。
レーグの部屋を訪れたリズは、彼の目の前に簡易包装された包みを差し出した。
「なんだ?」と訝しがるレーグを、「開けて開けて。」と促す。
かさかさと音を立てて包みを解くと、中から出てきたのは一個のマグカップ。
赤銅に近い色合いで、見た目的にも、レーグの身体と比べてもぴったりの大きさ。
「色がね、あんまり種類が無くって…でも、良かったら使って?」
持ち上げると、軽くて、ついでに壊れにくい、冒険者の食器に適した材質で作られていることが、
さすがに、物事にはあまり頓着しないレーグでもわかったようだ。
「これは一体、どうしたのだ?」
「ん。作ってもらった。ドワーフの鍛冶屋さんに。」
つまりは、特注品。
もちろんボルダン用に作られた食器は各国でも売っているのだが、
リズとしては、絶対に必要な物だし長く使う物だし、せっかくプレゼントするんだから最高の物で選びたい。
それに、とリズは思う。
大切な人にずっと使ってもらいたいし。

「…そうか。」
簡潔な説明しか受けてないけど、あれで納得したのか、レーグは手に持ったカップをまじまじと見つめてから、
「礼を言う。」
よく陽に焼けた褐色の肌の大男が、ふわりと口元を微かに緩ませた。
喜怒哀楽の表現が乏しいレーグのことだから。
「…どういたしまして。」
その表情がとても嬉しくて、リズは満面の笑みでそれに応えた。

 

fin



あとがき↓

そのあとの展開で、

「あっ、それでね、レーグが以前まで使ってたカップ…もらっても…いい?」
「?構わぬが…。」
「ありがとー。もったいないなーっていうか、あたし、ああいうデザイン好きだし…色とか。お、大きさもちょうど良いし。あはは(照)(どぎまぎ)」
「?」

というのを入れようかと思ったんですが、「人の使っていた食器を貰う」って…どうでしょうかねぇ…。
アウトですかねぇ、やっぱ…。



08.11.12

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