忍者ブログ
『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

 幸せな罪と罰 

口の中に鉄の味が広がっている。
――これが、血の味か。
イシュタルは引きつった笑みを漏らした。
腹部に受けた傷がずきずきと痛む。
そっと手を伸ばしてそこに触れると、生暖かい感触があった。

草を踏みしめる音が近づいてくる。
目だけを動かして空を見つめると、ぼんやりとした視界に眩しい蒼い色が映った。
「…イシュタル。」
その声の主は――
「…セリ、ス…公子…。」
ほんの一言を発するのも辛かった。
それでも、イシュタルの心は言いようのない奇妙な嬉しさで満ちていた。
「イシュタル。」
もう一度名前を呼び、セリスは彼女のそばに跪くと背中に腕を回して優しく抱き起こした。
すぐそばに、互いの顔。
蒼い瞳と赤い瞳が、しっかりと重なった。

「…私は、主の下で、数々の罪を…犯してきましたが…。」
ゆっくりと紡いでいく言葉を、セリスは黙って聞いていた。
ぎゅっと握られる右手が嬉しい。
そのおかげで、意識を手放さないでいられる。
「…最も重い、罪は…。」
「うん。」
「貴方を…愛してしまったことです…。」
主がいたのにも関わらず――。
そんな罪深い自分自身の不甲斐無さと、最期に想いを伝えられたことの嬉しさで、
イシュタルの目から一筋の涙が伝い落ちた。
(こうなってしまったけど、貴方を思っている間は幸せだった。)
心の底からそう思えた。
セリスが、暖かい涙を優しくぬぐった。

「僕の心を奪った罰として、イシュタルはずっと僕の傍にいてもらうよ。」
優しい音色で響く罰。
滲む視界の中で、セリスが微笑んだのが見えた。



fin



あとがき↓

場面のイメージとしましては、終章でセリスと対峙したイシュタルだけど、
負けちゃって瀕死で世紀の大告白ってところでしょうか。
血出ちゃってますが、ハッピーエンドです。



08.09.23

拍手

PR
ダイアリー
更新履歴
雑記(拍手&メルフォRe:)
アンケート
テキスト
FE 聖戦の系譜
FE 覚醒
Zill O'll
FINAL FANTASY 7
お題系
きまぐれジャンル
リンク
リンクページ

素材
●Photo : 戦場に猫
●Material : web*citron
●Template : hanamaru.
●Banner : Sky Ruins
メールフォーム
何かありましたら、どうぞ。お名前は入れなくても届きます。お返事は「雑記」ページにて*
忍者ブログ [PR]