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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 おくちなおしに 

「セラも、いかがですか?」
ルインが差し出してきたものを一目見て、セラは眉間に皺を寄せた。
「いらん。」
ぷい、と横を向かれてルインはそうですか、とくすくす笑いながら一言呟いた。
彼女が差し出してきたものは、銀色の紙に包まれた濃い色をしたチョコレートだった。

セラは甘いものが苦手だった。
女――特に身近にいるルインが、どうしてこんな甘いものを好んで食べるのかが理解できない。

「でも、セラ。これはビターチョコレートだから、食べられるかもしれませんよ?」
「いらん。」
「疲れたときには甘いものが良いって、ロイ兄さまが言ってました。」
そう言われて、思い浮かべる親友の顔。
(そういえば、やつも甘いものが好きだった。)
まったくこの兄妹は――と、なかば呆れた顔でルインを見た。
「別に疲れてなどいない。」
セラが呆れているとも知らず、ルインはにっこりと微笑む。
「ちょっとだけで良いですから。」
何故そこまで、この少女は頑なに勧めてくるのだろう。
「これね、アトレイア様が作って下さったものなんです。」
だからセラも、とルインは再びチョコレートを差し出してきた。
ね、とにっこり微笑み追撃をかましてくる。

セラはこの無垢な笑みに弱くなっているのだ。
長い間ずっと一緒に旅をしてきて、それを実感していた。

「…少しだけだぞ。」
大きなため息を吐きとうとうセラが折れると、ルインは嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます。」
銀色の包みの中から、小さな破片を掴む。
ほんの小さな破片なのに、甘い匂いが漂ってきた。
ちょっとだけ顔をしかめ、ルインを見やる。
ルインは子供のように目を輝かせて、セラの様子を伺っている。
「………。」
もう一度大きなため息をつくと、セラは破片を口の中に放り込んだ。

口の中に広がる、とろけるような甘さとほのかな苦さ。
「…どうですか?」
ルインが首を傾げてセラを見上げてくる。
「……甘いな。」
しかめっ面のまま、セラはそれだけ答えた。
「美味しかったですか?」
「……わからん。」
セラの渋顔を見て、ルインはやはりくすくすと笑った。

ルインは美味しそうにチョコレートを頬張っている。
セラはセラで、水筒の水をひとくち口に含んだ。
口の中に残っている甘さがどうしても気になる。
「…ルイン。」
「はい?」
ふいに名前を呼び、すぐ隣にいる少女が顔を上げた瞬間――

その紅い唇にキスをした。

「!?!?!?」
突然の出来事に、ルインは頬をさっと紅く染めて目を白黒させている。
「なっ…なんですか!?」
手の甲で唇を押さえで真っ赤になっているルインに対し、セラはいつもと変わらない表情。
「くちなおしだ。」
「…そ、そんなこと…!」
「でも甘いな。」
その一言で、ルインの顔はいっそう紅くなった。


fin



あとがき↓

…セラが妙にエセくさいのと、ルインがセラを呼び捨てにしているのはですね、
ED後でカップル成立後だからです。
こんなセラも嫌いじゃない。…ていうかセラ?



08.09.23

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