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『 ファイアーエムブレム聖戦の系譜 』と『 Zill O'll 』中心の二次創作テキストBlog
「 ト リ ソ ラ 」は、原作ファンによる非公認の二次創作テキストBlogです。
版権元及び関係者様各位とは、一切関係ありません。
また、版権元に対する権利侵犯・不利益を目的とするものでもありません。

Japanese Version Only
since : 2007.02.05

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 その理由 

彼女は、考え事をしているとき口元に手を添えるのが癖だった。
口元に手を添え、書類と向き合う。
たいていはすぐに右手のペンを走らせるに至るのだが、
小さく唸る声が聞こえてくると、眉間にしわを寄せて書類を睨みつける。

そんな時、サフォークは決まって部下を呼びお茶の用意をさせた。
「ザギヴ、一休みしようか。」
そう言って、紅茶の入った器を差し出す。
書類と向き合っていたザギヴは、はっとして顔を上げる。
「…あ、ありがとう。」
ふう、と大きな溜め息をついて両手でその器を受け取る。
甘い香りが漂う紅茶を一口くちに含んでから、再び溜め息をついた。
張り詰めていた糸がふつりと途切れたように、全身から疲れが抜けたような気がして、
ザギヴは革の椅子にゆったりと沈みこんだ。
彼女の様子を見て、お疲れさま、とサフォークが微笑む。
それにつられてザギヴも微笑みを返したが、ふと思ったことを口にした。
「あなたがくれるお茶は、いつもタイミングが良いわね。」
器を両手で包み込んだまま、サギヴは隣に並ぶ青年を見やる。
「君を見ていれば、わかるよ。」
ザギヴの頬が、ほんのりと朱に染まった。

近衛将軍を務めているこの青年とは、思えば長い付き合いになる。
初めて出会ってから今現在まで、『ザギヴを放っておけないから』をいう理由で側にるのだが、ただの『皇帝と将軍』という関係ではないことは周囲も知っている。
ザギヴはそれをとても恥ずかしがっているのに、青年は意に介した様子もない。
人前であっても二人きりのときであっても、先ほどのようなセリフを平気で吐く。
カルラから言わせれば、「バカ正直な天然色男」だそうだ。

「考えてるときの仕草とか行き詰ったときの表情とか。」
いつも一緒にいるからね、とサフォークは笑う。
その笑顔には裏というものが一切なく、本人は何気なく言っているつもりだろうが、
目の前にいるサギヴの頬はすっかり赤く染まってしまった。
「………。」
器を持って固まっていると、サフォークが伸びをした。
「そろそろ再開しよ…どうかした?」
サフォークが小首を傾げて覗き込む目は、まるで子供のようだ。
――端整な顔立ちのくせに、どうしてこういうところは鈍いのかしら。
「…なんでもないわ。」
残った紅茶をぐっと飲み干し、
「さ、再開しましょ。」
凛とした「皇帝」の声で言ったものの、その頬は赤いままだった。

 

fin



あとがき↓

ジルオール小説を書くと、自分で設定した主人公の性格がどんどん変っていってる気がします。
サフォークは、天然タラシで良いんじゃないかなもう。



08.03.23

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